> 「早朝の神社」「密会する」「手錠」
「早朝の神社」「密会する」「手錠」
「早朝の神社」で登場人物が「密会する」、「手錠」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
 この頃僕は早朝の神社を散歩するのが日課になっていた。そしていつも同じ時間に犬を連れた女性とすれ違い、お互いに会釈する。
 僕よりちょっと年上だろうか、面差しは昔の恋人に似て、ほんの少し残った感情がこの散歩を密会めいたものにする。

 あの恋は色あせることなく、心に手錠をかけ続けるのだ。
 
> 「深夜の橋」「決める」「星座」
「深夜の橋」「決める」「星座」
「深夜の橋」で登場人物が「決める」、「星座」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927
 喧嘩別れをしてから何度コールしても電話に出ない。
 彼女に会いに行くか、このまま戻るか。心を決めるきっかけをつかめないまま、深夜の橋を渡れず僕は迷っていた。

 フロントガラスの向こうで光る星座から、彼女の家の方向に星が流れる。その光に背中を押され、僕はアクセルを踏み込み走り出した。
 
> 「夜の倉庫」「踊る」「月」
「夜の倉庫」「踊る」「月」
「夜の倉庫」で登場人物が「踊る」、「月」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927
 言葉もなくただ歩き続けるだけの影法師が、夜の倉庫街に長く伸びる。
 彼女は振り返って月を見上げ「綺麗ね」とつぶやくけど、僕は気の利いたセリフも浮かばず、その横顔をただじっと見ている。

 心の中ではこんなにも伝えたい想いがあるのに。吐息だけが踊る、満月の夜。
 
> 「深夜の屋上」「抱きしめる」「眼鏡」
「深夜の屋上」「抱きしめる」「眼鏡」
「深夜の屋上」で登場人物が「抱きしめる」、「眼鏡」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927
 その時が来るのは判っていた。
 彼の言葉は別れを告げるものじゃないけど、以前のような優しさは感じられず、眼鏡の奥の伏せたまなざしはもう私に向けられることもない。

 その凍りついた瞬間を思い出し、深夜の屋上でやりきれない想いを抱きしめる。星が優しく瞬いた時、私はようやく泣くことができた。
 
> 「早朝の庭」「髪を撫でる」「メール」
「早朝の庭」「髪を撫でる」「メール」
「早朝の庭」で登場人物が「髪を撫でる」、「メール」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927
 眠れない夜が明け、私はメールを読み返す。
 何度読んでも昨夜と同じ冷たい文面……結論は変わらない。

 部屋のよどんだ空気を入れ換えようと窓を開けると、早朝の庭を渡る風が優しく髪を撫でる。
『……ああ、夏は終わったんだ』
 ほんの少し香る金木犀に秋を感じた朝、私は一つの恋を見送った。
 
> 「夕方の公園」「嘘をつく」「指輪」
「夕方の公園」「嘘をつく」「指輪」
「夕方の公園」で登場人物が「嘘をつく」、「指輪」という単語を使ったお話を考えて下さい。
http://shindanmaker.com/28927
 その再会は本当に偶然だった。
 彼女が連れていた子供の年齢が別れてからの時間を物語っていたけれど、夕方の公園という情景があの頃の記憶を引き戻す。
「今、幸せ?」
「ええ」
 僕の不粋な問いに答える微笑みは昔のままだ。
「なら、いいや」
 彼女の左薬指に光る指輪を見つめ、僕は自分の想いに嘘をつく。
 
> 「夕方の階段」「踊る」「鍵」
「夕方の階段」「踊る」「鍵」
「夕方の階段」で登場人物が「踊る」、「鍵」という単語を使ったお話を考えて下さい。
 夕方の階段で、私は部活の終わりを待つ。
 学校から家までの短い間、あいつと帰るひとときが楽しみ。恋とか愛とかそんなのはわからない、でもただのクラスメート以上の存在。

「じゃあまた明日な」
 あいつが部室から出てくる。
 自転車の鍵を外している間に追いつくかな。心が踊る瞬間を楽しむ、そんな毎日。
 
> 「夜の車内」「さめる」「コーヒー」
「夜の車内」「さめる」「コーヒー」
「夜の車内」で登場人物が「さめる」、「コーヒー」という単語を使ったお話を考えて下さい。
 僕達は流星群のピークを待っていた。
 10月とはいえ、エンジンを切れば夜の車内も冷え込む。隣のシートでは彼女が缶コーヒーで指先を暖めている。

「早く飲まないとさめるぞ」
「だって寒いんだもん」
 と、僕の頬に冷たい指を押し付け、笑う。
「……ほっぺた、あったかい」

 僕はその微笑みに暖められる。
 
> 「早朝の病院」「思い出す」「魔法」
「早朝の病院」「思い出す」「魔法」
「早朝の病院」で登場人物が「思い出す」、「魔法」という単語を使ったお話を考えて下さい。
 新しい命が産声を上げた早朝の病院。
 壊れそうなほど小さな赤ん坊を見て戸惑う僕に比べ、君は母親の顔になっていた。
 胎内で命を育む時間は、そんなにも君を強く美しくしたのか。
 その笑顔に魔法をかけられ、僕にも少しずつ実感が湧いてきた。

 …あの朝をいつまでも鮮やかに思い出す、僕らの子供の誕生日。
 
> 「夕方の階段」「なぐさめる」「花」
「夕方の階段」「なぐさめる」「花」
「夕方の階段」で登場人物が「なぐさめる」、「花」という単語を使ったお話を考えて下さい。
 早く一人きりになりたい……私は屋上まで駆け上がる。夕方の階段は人気もなく、誰にも気付かれずに済んだ。

 ひとしきり泣いた後、片隅のプランターに目をやる。誰が世話をしているのだろう、見事にコスモスが咲き誇っていた。
 なぐさめるように花が風に揺れ、私はふと息をつく。

 もう空は紅く暮れていた。
 
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